開成山大神宮(かいせいざんだいじんぐう)は「東北のお伊勢様」と呼ばれ、中條政恒が開成山一帯の開拓を進めて間もなく、遙拝所(ようはいじょ:ご神体の無い神社)の設計をしたことに始まります。
1874年(明治7年)に社殿・拝殿が造営竣工すると「遙拝所」を神社に改めることとなり、中條は開拓者の精神的拠り所とするため、開拓民の総意で伊勢皇大神宮の御分霊を奉還したいと神宮司庁に願い出ましたが、許されませんでした。
そのため、中條は旧友の西涼寺大教正鴻雪爪(せいりょうじ だいきょうせい おおとりせっそう)を通じて神宮司庁に働きかけ、ようやく1876年(明治9年)に太政大臣名にて、伊勢皇大神宮御分霊〈内宮の天照大御神(あまてらすおおみかみ)と外宮の豊受大神(とようけのおおかみ)〉・神武天皇の三柱の分霊が奉還されました。その上、社格を縣社とすることを条件としていました。
更に、当時申請した社号の「岩代大神宮」の岩代(いわしろ)は国名であるため、伊勢皇大神宮の称呼と類似しているとして却下され、名称を開成山大神宮としてようやく許可されたそうです。(終戦まで縣社の社格でした)
追記——————————————————————————————-
※「開成山大神宮(かいせいざんだいじんぐう)」は2016年(平成28年)4月19日(火)、文化庁により開催された「日本遺産審査委員会」の審議を経て、「日本遺産」に認定された37の構成文化財の一つです。
↑開成山大神宮社号標。郡山市開成三丁目1-38
↑鳥居越しに参道を望む。
↑境内手前の鳥居。
↑御祭神:天照大御神(あまてらすおおみかみ)
配祀神:豊受大神(とようけのおおかみ)〉・神武天皇とある。
↑狛犬{阿}
↑狛犬「吽」
↑開成山大神宮 拝殿。
↑拝殿屋根。内削ぎです。
↑本殿。
↑神楽殿。
↑伊勢皇大神宮御分霊時、皇大神宮から贈られた御神宝のひとつ「太刀(勝光)」説明書。郡山市教育委員会により郡山市指定重要文化財となっている。
※「太刀 勝光(たち かつみつ)」は2016年(平成28年)4月19日(火)、文化庁により開催された「日本遺産審査委員会」の審議を経て、「日本遺産」に認定された37の構成文化財の一つです。
↑昭和35年5月14日、郡山市指定重要文化財に指定。
↑伊勢皇大神宮御分霊時、皇大神宮から贈られた御神宝のひとつ「槍(銘国綱)」説明書。郡山市教育委員会により郡山市指定重要文化財となっている。
※「槍 銘 国綱(やり めい くにつな)」は2016年(平成28年)4月19日(火)、文化庁により開催された「日本遺産審査委員会」の審議を経て、「日本遺産」に認定された37の構成文化財の一つです。
↑同じく昭和35年5月14日、郡山市指定重要文化財に指定。
↑和魂〈にぎみたま(和霊)〉の南に位置する、神の怒り部分の荒魂〈あらみたま(荒霊)を祀る桑野宮(くわののみや)拝殿。こちらはかなり地味です。
↑桑野宮(くわののみや)表示。祀っているのは天照大御神(あまてらすおおみかみ)・豊受大神(とようけのおおかみ)〉・神武天皇の三柱の神の荒魂〈あらみたま(荒霊)〉。
↑桑野宮の南には、各地の先祖の霊を集めた古峰神社(ふるみねじんじゃ)がある。社号標と末社があるだけだ。寂しい限りです。
↑古峰神社の南にある開成山稲荷神社の入り口。
↑祭神表示。倉稲魂神(うかのみたまのかみ)とある。
↑開成山稲荷神社参道。
↑開成山稲荷神社拝殿。
↑開成山稲荷神社拝殿前に建つ通水落成記念標。
↑昭和17年5月の表示がある。
↑施工者は中川ヒューム管工業株式会社。
↑安部貞行の記念碑
↑開成山稲荷神社の南に位置する祖霊社(それいしゃ)入り口。祖先の代々を合わせた霊社です。
↑祖霊社祭神表示。神徒会代々の霊神。
↑祖霊社参道。
↑狛犬。「阿」
↑狛犬。「吽」
↑祖霊社拝殿。
↑開成山大神宮参道途中にある高さ2.5メートルもある開成山の碑。明治35年建立。彰仁親王(あきひとしんのう)筆。
↑開成山のいわれや安積疏水工事の経緯などが記されているそうで、開拓の苦労や、疏水完成の喜びが伝えられているようです。
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