「開成山の桜」の樹齢は?

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開成館の2Fには「開成山の桜」の樹齢調査がパネルにて展示されています。
樹齢100年を超えるソメイヨシノは稀であり、明治初頭の植栽であれば大変貴重であることから「開成山の桜」の樹齢調査が開始されました。

明治11年(1878年)に開成社が灌漑用の溜池である上ノ池(現在の五十鈴湖)と開成沼の土手にヤマザクラやソメイヨシノを植栽したとの記載があります。(「開拓留記」福島県文化財調査報告書第二集)

さくら通り沿い「ニコニコこども館」を背にして立つ、園内の桜の中でも幹周りの太いソメイヨシノが選ばれています。(根本周5.43m、幹周4.4mのソメイヨシノ)
採取木材による放射性炭素年代測定(AMS法)が行われました。

更に、中心部分が腐食し空洞だったため、採取位置から序木の芯まで年代を遡る調査が行われました。(測定機械による試料採取位置の特定や音響浪測定器による樹体内部の映像化で芯の位置を推定)
また、桜の成長度を推測するための平均年輪幅の算出を行いました。
(逢瀬川河畔に大正時代頃からあると伝わるソメイヨシノの伐採例を参考に、平均年輪幅を算出しています)

以上の複数の方法で多角的に検証した結果、今回調査した対象木が明治11年に植えられたソメイヨシノである確率は約95%となりました。
文献に残る植栽年(1878年)以前のソメイヨシノである可能性が極めて高いと考えられます。
類似例として、弘前公園のソメイヨシノ(青森県)1882年(明治15年)に植樹、
小石川植物園のソメイヨシノ(東京都)樹齢役130年と推定があります。

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